サブスクリプションの追加とノード選択

サブスクリプションを追加すると、ノード一覧には地域名、ミリ秒単位の数値、倍率、プロトコルの略称などが並びます。数値が最小のノードを選ぶだけでは不十分です。Web閲覧では応答の安定性、動画では継続的な通信速度と地域、ゲームではUDPへの対応も重要です。4つの指標が示す内容はそれぞれ異なり、単純な「速度ランキング」にはできません。

まだクライアントをお持ちでない場合は、ClashダウンロードページでOSに合ったものを選び、クイックスタートガイドを参考にサービス提供元のサブスクリプションURLを追加してください。URLには通常、アクセス用の認証情報が含まれます。URL全体を公開スクリーンショットや掲示板、外部の速度測定サイトに載せないでください。

  1. クライアントの「サブスクリプション」または「設定」画面でURLを追加し、更新後にその設定が有効になっていることを確認します。メニュー名はクライアントによって異なります。追加に成功したことと、実際に使用中であることは別です。
  2. 「プロキシ」画面を開き、実際の通信に使われているプロキシグループを探します。手動選択のグループは select、自動測定のグループは url-test であることが一般的です。
  3. 既存の設定どおりルールモードを使い、システムプロキシを有効にします。システムプロキシを参照しないアプリも経由させる必要がある場合は、別途TUNを設定してください。ノード選択のためにグローバルモードへ切り替える必要はありません。
  4. アクセス先のWebサイトを開き、「接続」画面で適用ルールとプロキシチェーンを確認します。接続が DIRECT になっている場合、プロキシノードを切り替えても、その接続の出口は変わりません。

遅延の数値と実際の通信速度

ミリ秒で表示される測定値の範囲

Clash系クライアントの遅延テストは通常、指定されたHTTPまたはHTTPSのテスト先へプロキシ経由でアクセスして測定します。OSのICMP pingとは異なります。計測範囲はコアの実装によって異なり、接続の再利用やハンドシェイク、テスト先の影響も受けます。表示が 80 ms でも、今回の経路の応答が速かったと分かるだけで、ダウンロード速度が何MB/sになるかは判断できません。

小さなページの表示では遅延の影響を受けやすく、大容量ファイルや高画質動画では継続的な帯域、パケットロス、混雑が重要になります。同じノードでも午前と夜間で性能が大きく変わることがあります。テスト先に接続できても、実際に使いたいWebサイトへログインできる、または再生できるとは限りません。

3回測定して変動を記録する

候補を3つ選び、同じネットワークとテスト先を使って各ノードを3回ずつ測定します。測定間隔は約10秒とし、普段使う時間帯にも再測定してください。下表は計算例であり、当サイトの回線を実測した結果ではありません。1回だけの最低値で選ぶと失敗しやすい理由を示しています。

遅延の記録例(単位:ms)
候補ノード3回の測定結果所見
ノードA48 / 210 / タイムアウト最低値は低いが、変動が大きい
ノードB92 / 96 / 943回とも比較的安定
ノードC165 / 172 / 168応答は遅め。予備候補向け

普段のWeb閲覧には、まずノードBを試し、よく使うページをいくつか続けて開いてみましょう。3回の測定はあくまで初期確認であり、長期的な安定性を保証するものではありません。タイムアウトが表示されても、すぐにノードの故障と決めつけないでください。テスト先が制限されている、DNSの名前解決に失敗した、タイムアウトの設定が短すぎるなどの可能性があります。対象のWebサイトでも確認し、クライアントのログも調べてください。

通信量倍率とプランの消費量

ノード名にある 0.5x、1x、2x は、通常サービス提供元の課金条件を表すもので、Clashコアが定めた標準項目ではありません。倍率が2倍でも、クライアントの速度が自動的に2倍になるわけではなく、遅延の評価にも使われません。実際の通信量の計算方法は、サービス提供元の説明やアカウントページで確認してください。

倍率の計算例

  • 実際の転送量に倍率を掛けて課金する場合、4 GBを転送すると、0.5xノードでは約2 GB分が消費されます。
  • 同じ転送量の場合、1xノードでは約4 GB分、2xノードでは約8 GB分が消費されます。
  • アップロードとダウンロードの両方が課金対象の場合、ダウンロード4 GB、アップロード1 GBを 2x ノードで転送すると、約10 GB分が消費されます。サービス提供元の単位や集計方法も確認してください。

クライアントに表示される「ダウンロード量」が、サービス提供元の課金対象通信量と一致するとは限りません。アカウントの通信量には別の端末の利用分が含まれることがあり、統計の反映が遅れる場合もあります。倍率の低いノードは大容量の通信に向いていますが、安定性も確認が必要です。倍率の高いノードは特殊な回線やコストを反映している場合も、単なる商品区分の場合もあり、名前だけでは性能を判断できません。

地域ラベルと出口の場所

ノード名の「香港」「日本」「アメリカ」などは、通常サービス提供元が示す出口の地域です。ただし、ノード名は任意に設定できます。入口、中継地点、最終的な出口は異なる場合があり、地理的に近くても経路が短いとは限りません。地域を合わせる必要がある場合は、一覧の旗印だけで判断せず、アクセス先のWebサイトから見える出口を確認してください。

地域を選ぶときの3つの確認項目

  1. 出口の地域:そのノード経由でIPアドレス確認サービスにアクセスし、表示される国・地域を確認します。IPデータベースの更新は遅れることがあり、ひとつの検索結果だけですべてのサービスの判定を予測することはできません。
  2. 利用するサービス:実際に必要なサービスで、コンテンツ一覧、ログイン、再生を確認します。地域判定はアカウントや支払い情報、DNS、サービスのポリシーにも左右されます。
  3. 回線の安定性:普段利用する時間帯に目的のサービスへアクセスします。同じ地域ラベルのノードでも、利用する通信事業者や出口IPアドレス、中継経路が異なる場合があります。

普段のWeb閲覧では、近い地域のノードから試し、実際の使い心地で判断しましょう。特定地域のコンテンツを利用する場合は、まず地域の条件を満たすノードを選び、そのうえで遅延や倍率を比較します。地域を頻繁に切り替えると、アカウントで海外・別地域からのログイン確認が求められることがあります。ログインや決済の際は出口をなるべく固定し、利用するサービスの規約を守ってください。

プロトコルとコアの互換性

Shadowsocks、VMess、Trojan、VLESS、Hysteria2、TUICなどはプロキシプロトコルの名称であり、速度のランクではありません。利用できるかどうかは、クライアントのコア、サーバー、サブスクリプション内の設定項目が対応しているかで決まります。オリジナルのClash、旧バージョンのClash Meta、各バージョンのmihomoでは対応範囲が完全には一致しません。特に新しいプロトコルや通信オプションは注意が必要です。

プロトコルまたは設定選択前に確認することよくある誤解
Shadowsocks暗号化方式、プラグインの要否、UDP設定がサポートされているか名前が同じなら、どのコアでも互換性があると思い込む
VMess / Trojan通信方式、TLS、サーバー側の設定、UDP対応プロトコル名だけで速度を判断する
VLESS / REALITYの設定コアの具体的なバージョンと、各設定項目への対応状況REALITYを独立した速度ランクとみなす
Hysteria2 / TUICコアの対応状況と、ネットワーク上でUDP通信が可能かQUICなら必ず速いと思い込む

追加時に unsupported proxy type が表示された場合は、まずクライアントとコアのバージョンを記録し、サービス提供元が案内するサブスクリプション形式を確認してください。画面に表示されるバージョンとコアのバージョンは別のものです。クライアントの「バージョン情報」またはコア情報の画面で、それぞれ確認してください。認識できない項目を安易に削除しないでください。削除後に追加できても、接続に必要な設定が変わってしまう可能性があります。

「プロキシの通信にUDPを使うこと」と「ノードがアプリのUDP通信をプロキシできること」は区別が必要です。ゲームや音声通話では、アプリのUDP通信が正しくプロキシ経路に入り、ノードとサーバーも適切な転送に対応している必要があります。Webページの速度測定に成功しても、UDP経路が使えるとは限りません。

Web閲覧・動画・ゲーム別のノード選び

普段のWeb閲覧:安定した応答を優先

まずは倍率1倍以下の利用可能なノードを選び、複数回遅延を測定してから、メールや文書、よく使うWebサイトへ実際にアクセスします。安定したメインノードを1つ、別経路の予備ノードを1つ確保すれば十分です。自動選択グループは通常、テスト先への遅延を基準にノードを選びます。プランの倍率を考慮したり、目的のWebサイトで使えるかを判断したりはできません。

動画視聴:地域と継続的な通信速度を優先

まず動画の通信が想定したプロキシグループを通っていることを確認し、地域が条件に合っているかを調べます。目的の動画サービスで5分ほど再生し、再生開始時の読み込み、シーク後の再開、画質が徐々に低下しないかを確認してください。再生統計を確認できる場合は、ダウンロード速度と現在の動画ビットレートを比べ、余裕があるか確認します。

たとえば動画のビットレートが20 Mbpsなら、約2.5 MB/sに相当します。回線がその速度に一時的に達するだけでは、再生が途切れることがあります。この換算は目安であり、すべての4K動画に当てはまる固定要件ではありません。動画用ノードでは最小の遅延にこだわる必要はなく、速度の安定性と適切な倍率がより重要です。

オンラインゲーム:UDP経路と遅延の揺れを優先

多くのゲームはシステムのHTTPプロキシを参照しないため、システムプロキシを有効にしても、ランチャーのダウンロードにしか影響しないことがあります。TUNを使うと、ルーティングとルールに合致する通信をコア経由にできますが、ゲームサーバーまでの距離が近くなるとは限らず、遅延が下がる保証もありません。有効にした後は、ゲームの接続に適用されるルール、プロキシチェーン、UDP対応を確認してください。

クライアントのHTTP測定値ではなく、ゲーム内の遅延やパケットロスの表示を優先して確認します。たとえばゲーム内の遅延が60 msでも、パケットロスが継続的に3%ある場合、安定して85 msでパケットロスがない接続より、キャラクターの瞬間移動やボイスチャットの途切れが起きやすいことがあります。数値は比較例です。同じサーバー、同じ時間帯で短時間プレイして判断してください。直接接続のほうが安定するなら、そのゲームはルールで直接接続に設定しましょう。

ノード選択の記録とトラブルシューティング

よく使うノードについて、日付、ネットワークの種類、出口地域、倍率、3回の遅延測定値、実際の利用結果を簡単に記録しておきましょう。自宅の固定回線、スマートフォンのテザリング、会社のネットワークでは経路が異なるため、古い記録を新しい環境にそのまま当てはめることはできません。サブスクリプションの更新でノードのアドレスや名前が変わる場合もあるので、メインと予備のノードを改めて確認してください。

  • 遅延は低いのにWebページが遅い:対象の接続が本当にそのノードを経由しているか確認し、DNS、接続先の応答、回線の混雑も調べてください。遅延テストを繰り返すだけで結論を出さないようにしましょう。
  • 切り替えても出口が変わらない:プロキシグループが別のノードを選んでいないか確認し、対象の接続を作り直してください。すでに確立した長時間接続は、ノードを選び直してもすぐに切り替わらないことがあります。
  • 特定のWebサイトだけ開けない:そのサイトに適用されるルールと地域条件を確認してください。サブスクリプション全体をすぐに入れ替える必要はありません。
  • すべてのノードが同時に使えない:ローカルネットワーク、サブスクリプションの有効期限、システム時刻、クライアントのログを確認してください。すべてで問題が起きているなら、まず共通する要因を調べましょう。
  • 通信量の消費が早い:現在のグループで使われているノードの倍率、バックグラウンドのダウンロード、ほかの端末の通信量を確認し、サービス提供元のアカウントページで集計結果を調べてください。
ノードがタイムアウトと表示されても、使い続けられますか?

まず目的のWebサイトへ実際にアクセスしてみてください。テスト先とWebサイトでは経路が異なる場合があり、テスト先への接続失敗がすべての通信の失敗を意味するわけではありません。ただし、複数のサービスでも失敗が続く場合は予備ノードに切り替え、エラーログを保存して原因を調べてください。

倍率が高く、プロトコルが新しいノードほど優れていますか?

倍率は課金条件、プロトコルは接続方式を表すもので、どちらも性能を保証するものではありません。「目的のサービスで使えるか → 経路が安定しているか → 倍率が適切か → コアに対応しているか」の順に確認するほうが、名前だけで並べ替えるより確実です。選んだ後は予備を1つ確保し、問題が起きたときに原因に合わせて切り替えましょう。